2011年7月5日火曜日

老人とラーメン


自分が大好きな食べ物を、それほど好きじゃないとか、いらないとか言われてスルーされることほどショッキングな事は無い。
だが、年齢・性別によって食の好みは違いが存在する。
私が子どもの頃一番ショッキングだったのは、父方の祖父と二人で留守番をしていた時の事だった。
その日は雨が激しく降っていた。
母親から電話で、何か出前を取るようにといわれたので、近所のラーメン屋に電話を掛けて出前を取る事になった。
普通のラーメンでいいね、と祖父に確認したところ、あー、俺はラーメンなんて食べんよ。とにこやかに祖父は言い放った。
小学生の私は耳を疑った。
なんですって。
ラーメン食べたくないとか、そんな人がこの世に存在するなんて。
多少困惑しながらも、じゃあ仕方が無い、と私はラーメン屋に電話した。
ラーメン一杯、お願いします。
ラーメン屋さんも明らかに困惑していた。
この土砂降りの中、たった一杯かよ・・
電話の相手は小学校低学年の女児である。
断ったら、一人ぼっちで飢え死にするかもしれない。
わ、分かりました。ラーメン一杯ですね。
ラーメン屋さんも困惑しながらも出前をちゃんと持ってきてくれた。
うちの父の話によると、父も祖父相手に子どもの頃、全く同じ思いを味わった事があるそうだ。
それは、ラーメンではなくキャラメルだった。
戦後間もない頃の子どもにとってはキャラメルというのはこの世で一番美味しいものの一つであったことは想像がつく。
ある日父が、祖父に向かってキャラメル食べるか、と差し出したところ、祖父は例のにこやかな顔で、いやー、おれはキャラメルなんか食べんよ、と言い放ったそうである。
父も思ったそうである。
こんなに美味しいものを食べないなんて、なんてこの人は不思議な人なんだろう、と。
しかし今考えれば祖父の気持ちは少し分かる。
老人はラーメンのようなこってりしたものは、あまり好まないだろう。
大人の男性は、一般的に甘いものがあまり好きじゃない人が多い。
今考えてみると、祖父が取り立てて変な人ではなかったことが分かる。
祖父の名誉挽回である。

2011年7月1日金曜日

酔うその2


お酒を飲まない男女がどうやって仲良くなるのか、不思議に思ったが考えて見ると人間が酔うのは何もお酒だけではないという事に気がついた。
相手の容姿の美しさだったり、あるいは社会的地位、肩書き、あるいは美しい景色、言葉。
他にも茶酔いとか乗り物酔いとか船酔いとかもあるが、あまり人間関係を促進するものとは言えないので関係ないだろう。
茶酔いしてる男女とか想像してみるとなかなかシュールな光景だが、あれはどっちかっていうと麻薬でラリってる状態に近いのでロマンスとは程遠い感じだ。
恋愛中の男女はお酒以外の諸々の要素によって多少なりとも酔っている状態のはず。
ということは、まてよ、お酒を飲まずに相手を酔わせるようなものを持っている人のほうが恋愛勝者ってことか。なんと。
そういえば、麻薬で捕まった某俳優のように本当の自分以上に自分に酔ってるタイプの人が意外ともてたりするのは、自己陶酔に相手もつられて酔ってしまうというパターンなのかな。
でも、麻薬っていう物質が必要だったってことは、案外その自己陶酔も大してパワーがなかったって言うことか。
まあ、私も含めて凡人はそんなに常に自分に酔っているという事もできないし、生きているだけで他人をメロメロにするような、何かも持っていないので、しかたなくお酒の力を借りるというパターンなのかなあ。
うーん。というわけで、婚活中の人には自分の誠実さをアピールするより何かしら相手をうっとりさせるようなことを、言ったりやったりしたほうが効果的、という結論になるのか、この話は。